2020年現在、コンテンツマーケティングを活用しているのは、botc企業だけでなく、btob企業も多く含まれています。また、これまでブランド構築というよりは、個人対個人での営業手法が主だった銀行や証券系の金融機関や、フィンテックを始めとする新興のデジタル金融業種・決済サービス業者でも、コンテンツマーケティングや自社で運営するブログなどのオウンドメディア運用を活用している企業は少なくありません。
しかし、金融機関は、取り扱っている商品やビジネスの特性上、また、金商法やコンプライアンス、広告審査的にも、非常に慎重にコンテンツを作成する必要があるのです。今回は、金融機関がコンテンツマーケティングを成功させるためのコツを考えてみました。それぞれの項目において、詳細にまとめていますので、ご自身のビジネスになぞらえて読んでみてもらえると幸いです。
目次
- そもそも「コンテンツマーケティング」ってなに?
- 投資に興味のない人に「お金の重要性」を認識させる方法
- 金融機関は顧客のファン化を何階層に分ければいい?
- 投資家のカスタマージャーニーの描き方
- 金融特化型のライターを指名しなければいけない理由
- 投資をネタにした「読ませる記事」の書き方
- 金融機関は「ファン」をどうやって作っていくか?
- 金融機関向けオウンドメディアにおける「伝わりやすい文章」とは?
- 金融機関のSEOキーワード選定方法
- お金がテーマの「読ませるコンテンツ」とは?
- まとめ
1.そもそも「コンテンツマーケティング」ってなに?
コンテンツマーケティングとは、ダイレクトメールや動画、プレスリリースなどさまざまな情報コンテンツやメディアを通じて顧客にとって価値ある情報を提供し、「ファン」をふやしていくというマーケティング手法です。最近は、このコンテンツマーケティングが、銀行や証券、保険などの記入業界にも広がっています。
フィンテックも話題、金融もITやSNSの威力を無視できない
コンテンツマーケティングが「広告」と異なるのは、一見自社の商品やサービスには直接関係がないような周辺コンテンツも含めて、読者や消費者が「知りたい」情報を提供していくという点です。宣伝ではなく、あくまで相手の目線にたった情報提供に徹しているのがポイントです。
最近は、その一手法として、「オウンドメディア」を構築する企業も増えています。オウンドメディアとは、新聞やテレビ、雑誌などの媒体以外の企業が運営するコンテンツサイトのことです。
オウンドメディアに専門性や信頼性の高い記事を掲載することで、自社のブランディング構築にプラスとなるほか、フェイスブックやツイッターなどSNSでのシェアも期待でき、ページへの流入につながります。ITと金融を融合させた「フィンテック」が話題となる中で、金融も、経営手法としてITやSNSの威力を無視してはいられなくなっています。
金融機関が行うべきは「正しく信頼できる」コンテンツマーケティング
フィンテックが話題になる一方で、日本はバブル期以降、お金にまつわる話題はタブー視されることが多く、多くの人が金融教育を受けないまま、「なんとなく、お金に関する話題はこわい」と感じているのが現状です。一方で、ネットなどでは真偽不明の「もうけ話」に関するコンテンツも多くあり、それらにだまされる人も少なくありません。
金融機関の使命として、人々にお金にまつわる正しい知識を伝えること、またそれが営業活動につながっていくことが、金融機関の行うべきコンテンツマーケティングだといえます。
企業と消費者、両方がウィンウィンに
銀行や証券、FXなどの金融業界では、その商品の性質から当局の規制のもとでの営業に徹しなければならず、アグレッシブに営業活動をかけるというのが難しい、というのが昨今の風潮です。情報を知りたい読者と情報を届けたい企業側、両方がウィンウィンの関係となれるのが、コンテンツマーケティングなのです。
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2.投資に興味のない人に「お金の重要性」を認識させる方法
昨今話題のフィンテック界隈では、freee、マネーフォワードなど「IT×お金」の分野で、国産の新しいコンテンツサービスが芽吹きつつあります。一方で、日本では金融教育が普及せず、お金に関するリテラシーが低い人が多いのも事実。投資に興味のないグループに属する人に、どうやって「お金の重要性」を認識させ、新たに、投資家の道を進むように促すかというのは、金融機関にとって最大の課題といえるでしょう。
「お金の使い方は自分で決める」という意識が低い日本人
世界に類を見ない貯蓄大国である日本でも、NISA(小額投資非課税制度)が始まり、個人投資家を増やす土壌は整いつつあります。しかし、「貯蓄から投資へ」というかけ声が数十年たっても実現していないのは、「お金の使い方は自分で決める」という意識が低いせいでしょう。日本では税金も社会保障費も給与から天引きですし、サラリーマンであれば確定申告も年末調整という形で会社がやってくれます。
多くの人は、給与明細を見て「税金高いなあ」と思ってはみても、各項目について詳しく調べることもなく、明細書をしまい込んでしまうのでしょう。中には、電子明細で受け取っていて、開けたことすらないという人もいるかもしれません。自分がいくら稼いでいて、いくら税金で引かれているのか、そういった「コスト」にすら関心がない人がほとんどでは、金融リテラシーが高まりようもないといえます。
金融リテラシー向上に金融機関が果たすべき役割
一方、こうした状況を作り出した背景には、金融機関が積極的に金融リテラシーの向上に努めてこなかった、という点があります。実際のところ、一般の人に金融教育を施しても、目先の営業成績につながるわけではないので、軽視してきたという面があります。また、一般の人の金融リテラシーが向上することで、金融機関にとって「面倒な」顧客が増えることを懸念していたという面はないでしょうか。
長引く景気低迷と国内経済の縮小で、金融機関の貸付先も減少していくと考えられる中、一般顧客に向けた営業強化は、避けて通れない局面になっていくとみられます。顧客との接点を増やすためにも、わかりやすい言葉で正しい知識や信頼できる情報を提供し、金融リテラシーを高める役割が、金融機関に求められているのです。
コンテンツ提供で長期的に顧客の意識を変えていく
コンテンツマーケティングを用いた顧客との対話は、目先の利益を得られる営業手法ではありません。あくまで自発的にコラムなどのコンテンツを読んでもらい、長期的に顧客の意識を変えていくことは、将来の成功につながるはずです。
3.金融機関は顧客のファン化を何階層に分ければいい?
オウンドメディアの運営など、コンテンツマーケティングの基本であり、もっとも重要なポイントとなるのが、顧客に「刺さる」情報を適切に提供することだといえます。これは、金融機関によるコンテンツマーケティングも同様です。顧客をある条件のもとでセグメントに分けて、それぞれの階層にあった情報提供を心がける必要があります。
顧客セグメントの分け方の具体例
顧客セグメントの分け方として、1つ目は資産規模で分ける方法があります。金融資産が 4 千万円以上の富裕層と呼ばれる顧客と、それ以外の顧客(いわゆるマス層)では求めている金融サービスや必要とする情報が異なる可能性があります。
このほか、年齢、ライフステージや家族構成、住宅形態、入出金のパターンなどの生活スタイルによる区分もあります。また、「口座を開設している顧客」「住宅ローンを組んでいる顧客」「投資商品を購入している顧客」というように、銀行との取引の深度によってセグメントが変化します。
コンテンツ提供はどのレベルをターゲットにするか
コンテンツマーケティングは、コンテンツ提供によって顧客との接点を増やし、自発的に顧客の潜在的な興味・関心を掘り起こすという手法です。とはいえ、対象となるのはあくまで「潜在的な顧客層」であり、まったく興味関心がないという層に向けて情報発信をしても、徒労に終わることがほとんどです。コンテンツ提供の対象となるのは、銀行との取引の深度によるセグメント分けでいえば、だいたい上位4段階くらいと考えてよいでしょう。
それぞれのレベル感に合わせたコンテンツを提供する
上位4段階というと、対象となるのは「マネーに強い関心があるセミプロ層」から「資産形成に多少関心を持ち始めている層」まで、かなり幅広い層を対象とすることになります。それぞれのセグメントによって、興味関心事や知識レベルが異なるので、それぞれのレベル感に合わせたコンテンツを提供することが必要になります。
こう見ていくと、コンテンツマーケティングというのは、従来のマス向けのマーケティングに比べてかなり手の込んだ仕掛けが必要だということがわかるのではないでしょうか。
4.投資家のカスタマージャーニーの描き方
カスタマージャーニーとは、直訳すれば「顧客の旅」。顧客が商品やサービスを知り、最終的に購買するまでの一連の「行動」、「思考」、「感情」のプロセスをさすマーケティング用語です。
顧客行動を「点」ではなく「線」で見る
サービス提供側からは、顧客が「資料申し込みをしてくれた」「来店した」「公式サイトにアクセスした」「アプリをダウンロードした」「サービスを申し込んだ」など、アクションごとでしか顧客の反応をうかがい知ることができませんが、その背後にはさまざまな課題や感情、思考が伴います。この顧客の行動様式をうかがい知るために参考となるのが、カスタマージャーニーであり、図式化したものをカスタマージャーニーマップといいます。
セグメント別にコンテンツを見直そう
コンテンツマーケティングのターゲットとなる顧客層にも、さまざまなレベルがあります。すでに投資に精通しているセミプロ層から、マネーに関する関心が芽生えたばかりの入門層まで。コンテンツマーケティングを行うには、顧客に「刺さる」情報を提供することが肝心ですから、それぞれのレベルに合わせた情報提供が重要になります。
例えば、初心者には平易な文章で基礎知識的な内容を、上級者にはもう少し硬質で高度な内容を……というように、セグメント別に視点を正確にして、コンテンツを見直していく必要があります。
カスタマージャーニーマップを羅針盤に
コンテンツを企画する際に顧客の思考や行動様式を知るために活用したいのがカスタマージャーニーの考え方です。ペルソナ(ターゲットとなる顧客)が何を考えているのか、どのような情報が求められているのかを、カスタマージャーニーマップとして図式することで、顧客目線でのものを見ることの実践につながり、コンテンツ企画、制作の羅針盤となります。
また、ペルソナ像が明確になることで制作チームにとっても意思疎通がしやすくなり、指示出しや上役への説明などがスムーズになるはずです。
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5.金融特化型のライターを指名しなければいけない理由
昨今、クラウドソーシングで安価に集めたライターを使い、コピー&ペーストや事実に基づかない内容などのレベルの低い記事を量産させて掲載していたウェブサイトの存在が明らかになり、波紋を呼びました。
コンテンツマーケティングの質担保に世間の目厳しく
数年前まで、Googleなどの検索サイトでウェブサイトの表示順位を上げるには、SEO(検索エンジン最適化)対策が重要だとされていました。しかし、2020年現在は、検索アルゴリズムの変更で、従来の機械的なSEOに加えて、ユーザーにとって有益であると判断されたウェブサイトが上位に表示されるようになっています。
そのため、ウェブサイトの運営事業者は競ってコンテンツの中身を充実させる必要に駆られており、ライターへの需要が高まる中で、低品質な記事を量産するライターが生み出されるようになったのです。
金融商品は、監督省庁や法規制の縛りも厳しく、正確な情報提供が求められる性質の商品です。ネット上を検索すれば、怪しげな投資商品やもうけ話に関する出所不明のコンテンツは多く掲載されていますが、金融機関のオウンドメディアとして運営する以上、そうしたメディアとは性質を異にし、きちんとした品質を確保する必要があります。
自社スタッフによるコンテンツ内製は可能?
では、金融知識があり、ある程度のライティングのスキルがある自社スタッフによって、コンテンツを内製化するのはどうでしょうか。品質を担保するという意味では適切かもしれませんが、「読ませるコンテンツ」という面から見ると、難しく書きすぎる、中立的ではなくセールスライティング的になってしまうなど、さまざまな弊害があります。
きちんとしたコンテンツ作りをしようとすると、想像しているよりも時間や労力がかかるため、自社スタッフには、コンテンツマーケティング向けのコンテンツ作りよりも優先順位の高い業務に専念すべきだといえます。
専門ライターとの協業で「読ませるコンテンツ」を
そこでおすすめしたいのが、ライティングの知識が豊富な専門ライターとの協業です。中でも、金融に特化したライターを起用することで、質を担保しながら、「読ませるコンテンツ作り」が可能になります。
6.投資をネタにした「読ませる記事」の書き方
日本では、子どものころから金融教育がされてきていないので、マネーに関する知識が乏しい人がほとんどです。バブル期に投資や不動産売買で失敗した世代などを中心に「お金の話は怖い」というイメージが先行して、耳を貸そうとすらしない人もいます。そうした人々に向けて、金融機関はどのようなコンテンツ提供をしていくべきなのでしょうか。
金融知識×コンテンツ力
金融機関の顧客は、すでに投資になじみのあるセミプロ層から、マネーに関する関心が芽生えた程度のビギナー層まで、幅広いターゲットを顧客として抱えています。オウンドメディアの運営をはじめとするコンテンツマーケティングは、企業側の一方的なメッセージを伝える広告宣伝や、ダイレクトメールなどと異なり、顧客の知識や興味関心のレベルに合わせて、適切なタイミングで適切な内容の記事を提供していく必要があります。
そのためには、金融に関する専門知識だけでなく、それぞれのレベルに応じたコンテンツの企画や、記事の書き分けといったライティングのスキルも必要です。
ターゲットに「自分ごと」化させる記事が重要
コンテンツマーケティングでは、記事を読ませることで、ターゲットに「自分ごと」化させなくてはいけないので、コンテンツ力が重要となります。読んでわからない、面白くない記事は、いくら提供しても見向きもされませんし、ソーシャルメディアでのシェアやウェブサイトへの流入といった二次的な効果も見込めなくなり、徒労に終わってしまいます。
「読ませる文章」で最初の一歩をひらく
マネーに関する知識の乏しい人にとって、投資は「すごく難しい」というイメージがあります。まず、第一歩となる最初の理解を深めるのが難しいのは、ファンドでもFXでも証券でも一緒です。そこを「読ませる文章」というコンテンツ力で乗り越えさせることが重要であり、それが投資系商品を取り扱っている金融機関のコンテンツマーケティングのポイントになります。
7.金融機関は「ファン」をどうやって作っていくか?
ご自身が「金融機関勤め」という枠を外して、ひとりの生活者目線に立ったとき、銀行や証券会社など金融機関とのつきあい方は、どのように決めていますか。「会社の指定金融機関だったから」「家の近所に支店があるから」「親の代からこの金融機関を使っているから」「営業されたから」など、「受け身」で決めている人が多数ではないでしょうか。
お金にまつわる話題をタブー視する日本
マネーに関心がある人がじっくり商品内容を検討しようにも、金融商品という性質上、金利も運用益もほぼ横並びという現実もあります。
また日本では、子どもの頃からお金にまつわる教育を受けている人はまれで、金銭に関することを口にすることすらタブー視されている雰囲気があります。「なんとなく、お金にまつわることは怖い」と思っている人がほとんどで、その結果が家計の金融資産残高1800兆円(2016年末)という、「貯蓄大好き」な国民性を作り上げたのではないでしょうか。
バブル時に投資で痛い目にあった世代以降、安全安心な財テク手段として日本人に好まれてきた貯蓄ですが、日本の国力低下とインフレ、円安傾向で実際には目減りしていくことは明らか。言い古されたコンテンツではありますが「貯蓄から投資へ」を本気で推進していく必要があります。
金融機関から世の中の潮目を変えていく
しかし、「お金はこわい」と思っている人ばかりでは、こうした流れを変えていくことはできません。そこで、金融機関は人々の啓もう役になって、潮目を変えていく必要があります。しかし、金融機関は、当局の規制にがんじがらめとなり、アグレッシブな営業をかけるのはほぼ難しいといえます。そこで、「お金はこわい」と思われていることを逆手にとり、生活者目線にたったわかりやすく正しい内容のお金にまつわるコンテンツを提供してみてはいかがでしょうか。
じっくりゆっくりと対話を
「北風と太陽」ではありませんが、実際のところコンテンツマーケティングは、すぐに効果が得られる施策ではありません。ゆっくりじっくりと「かゆいところに手が届く」、わかりやすく「知りたい」内容のコンテンツを提供していくことで、生活者との対話を図り、「ファン」を獲得していくのです。
また、昨今、あらゆる業界で、「ビジネスモデルのサービス化」が進み、取り扱い商材が「モノ」から「コト」に移りつつあります。日本の金融機関も、規制下での横並びの「商品紹介」コンテンツ(「モノ」)から、顧客に金融機関でのサービスを体験してもらう、「コト」消費を意識したコンテンツ作りを目指しましょう。
8.金融機関向けオウンドメディアにおける「伝わりやすい文章」とは?
日本では、投資や運用などの金融商品は、まだまだ「難しい」「わからない」「なんだか怖い」というイメージをもたれています。金融機関のオウンドメディアには、こうした一般生活者層に向けて、「正しい情報」を「正確に」「わかりやすく」伝えることが期待されています。
金融業界のマーケティングは縛りが多い
金融機関は、規制業界という特性上、「提供できるモノやサービス」に差がつけられないという特徴があります。この点は、企業努力ではどうにもできないため、ローン金利や運用商品の利回りも各社ほぼ横並びです。加えて、広告を作成する際にもコンプライアンスと金融商品取引法の縛りがあり、コンテンツも横並びになりがちです。
コピーライターから上がってきたせっかくの魅力的なキャッチコピーも、顧客からのクレームや金融庁からの注意を過度に気にする広告審査部やコンプライアンス部からの反対で、却下されてしまったという経験をもつ方も多いのではないでしょうか。
ユーザーの知識段階に合わせて、コンテンツやライティングも変えていく
金融機関の顧客には、投資に通じたセミプロから、「マネーについて知っておきたい」というライトなビギナーまで、幅広い層が存在します。コンテンツマーティングは、それぞれの顧客に対して「刺さる」コンテンツを提供することが肝要ですから、それぞれの知識段階に合わせて、コンテンツやライティングも変えていく必要があります。
ただ、「数打てば当たる」というように、さまざまなレベルのコンテンツを乱立させていると、サイトにまとまりがなくなり、ユーザーから見たときに「ほしい情報がどこにあるかわからない」という不満を引き起こすことになります。
「役立つ」「伝わる」コンテンツ作りを
金融機関のオウンドメディアでは、専門知識を噛み砕いてわかりやすく伝えることは基本です。さらにこれからは、そこから一歩進んで「役立つ」「伝わる」コンテンツであることが求められています。
そのためには、単なる「商品紹介」的なコンテンツから脱却し、「読み物」として完成されたコンテンツを目指す必要があります。さらに、コンテンツを伝えたい(=ユーザーとして取り込みたい)ターゲットを明確化し、その層にダイレクトに伝わる内容をとなると、片手間にできるものではありません。そこで、金融に特化したライターの手助けが必要になるのです。
金融ライターはなぜ良いのか?
金融に特化したライターは、編集やライティング、コンテンツ作りのプロであるだけでなく、そのバッググラウンドから業界や商品に関する知識も持ち合わせています。ユーザーに「刺さる」コンテンツづくりのために、こうしたプロのライターと組むことをおすすめします。
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9.金融機関のSEOキーワード選定方法
SEO(検索エンジン最適化)では、キーワードの選定が成否を握っています。金融機関のオウンドメディアも、Googleなどの検索サイトで上位表示を狙うなら、当然SEO対策をしていく必要があります。金融機関のSEOキーワードの選び方を見ていきましょう。
表示キーワードの「優先順位」を決める
SEOキーワードを選定する際に大切なのは、「優先順位」を決めるということです。さまざまな検索キーワードで露出を図りたいのはやまやまですが、あれもこれもと欲張ってしまうと、アピールポイントが曖昧になり、訴求力が弱まってしまいます。例えば、「投資信託 初心者」と「外貨預金 初心者」というキーワードがあるとします。予想されるユーザーのニーズとしては、以下の2つが考えられます。
- 投資信託 初心者=初心者向けの投資信託商品を探している
- 外貨預金 初心者 =初心者向けの外貨預金商品を探している
中には、具体的な商品を知る前に、投資のノウハウを探している可能性もありますが、最終的に知りたいのは「どういう商品を選ぶと儲かるか」という部分でしょう。多くの銀行は投資信託も外貨預金も取り扱っているので、両方をトップページなどで強調すると、サイト上で伝えたいキーメッセージが曖昧になってしまい、強みが何なのかが伝わらなくなってしまいます。
費用対効果を見てキーワードを決める
自社の強みを把握した上で、軸となるキーワードを決めていきます。Googleのキーワードプランナーを利用すると、ユーザーが検索しそうな関連キーワードを集めることができます。
集まったキーワードから、検索ボリューム(検索された回数)や予算、効果を考えながら、対策キーワードを選びます。検索ボリュームの多いキーワードはユーザーの検索回数が多いキーワードですが、それだけ競合も多く、SEO対策にも手間や予算がかかります。
まずはSEOの軸となるキーワードを決めよう
コンテンツを制作する際、内製でも外注でも、SEOの軸となるキーワードを決めることが重要です。ユーザーのニーズや競合他社の状況、自社の強みを把握した上で、市場の強みを把握したキーワードであれば、SEOを成功へと導くことができます。
10.お金がテーマの「読ませるコンテンツ」とは?
前述の通り、昨今、医療キュレーションメディアで真偽不明なコンテンツが大量に掲載されていたことが明らかになり、ウェブメディアの信頼性が改めて問われるようになっています。金融業界も、法規制や取り扱い商品の性質から、医療情報に並んで正確性や信頼性が求められます。一方で、より多くのユーザーにコンテンツを見てもらうためには、正確性や信頼性だけでなく、ある程度のエンタメ性も必要です。
マネーコンテンツには「情報系」と「実務系」の2種類がある
マネーコンテンツは大きく分けて、「情報系」と「実務系」の2つに分けられます。情報系は、世の中に周知されている情報をライター独自の切り口で読みやすくまとめた記事です。例えば、「老後資金は3,000万必要?老後のマネープランとは」というような切り口の記事ですね。
一方の「実務系」は、保険の選び方やFXの取引の仕組みなど、営業やコンサル、サービスの実務経験に基づいた記事になります。どちらも、金融商品の知識やデータの読み方といった知見は必要ではあるものの、後者の記事はより実務を知っている必要があります。
得意分野を見極めたコンテンツ作りを
金融業界に特化した金融ライターにコンテンツ作成を依頼する場合、多くは前者の記事が対象となるでしょう。後者の記事は事実情報や正確性が命であり、実務経験者もしくは最新情報にくわしい現役の実務担当者による執筆が望ましいからです。
ただし、実務経験者が「読ませる」コンテンツを書くためのライティング力を兼ね備えているとは限りません。そこで、実務経験者が書いた文章を、ライターが「わかりやすさ」や「読みやすさ」という観点から、編集・リライトすることになります。一方で、こうした実務コンテンツをライターに依頼する場合には、内容の正確性を担保するための実務経験者が必要です。
金融・マネー系コンテンツの中でも、初心者を対象にしたものは、特に難しい専門知識をよりわかりやすく、かみくだいて伝えることが必要です。「信頼性・正確性を担保する」実務経験者×「読ませるコンテンツ作りのプロ」金融ライターの協業が欠かせないといえます。
検索エンジン対策はSEOからSXOへ
ウェブメディアの不祥事などを受けて、Googleなどの検索サイトは、機械的なキーワード付与によるSEO(検索エンジン最適化)からSXO(検索体験最適化)というユーザーの「滞在時間」などを考慮した検索評価が主流になっています。ユーザーの「知りたい」に答えるためにも、コンテンツ内容のブラッシュアップを図ることが、検索エンジン対策の上でも今後の課題になることは間違いありません。加えて、SEO対策的には、トップページなどを徹底して構築することもさることながら、サイトマップや利用規約、法人としてのコンプライアンスなどを記載するページなどをしっかり構築していくことも大切です。
11.まとめ
前述の通り、昨今では、ネコも杓子もコンテンツマーティングというくらい、さまざまな業界で、コンテンツマーケティングが取り入れられています。金融機関はこれまで、規制業界として他業界よりもマーケティングやプロモーションなどの行動に制約を受けてきました。そのため、金融業界のコンテンツマーティングはいかにあるべきか、検討する時代が続いて来ました。
しかし、マーケティング先進国の米国では、コンテンツマーケティングによる成果が際立って上がっている業界は、金融業界だと言われているほどです。米国ではもともと、投資に関する一般生活者の関心が高いという素地があります。
ただ、米国の金融業界では昨今、もともとマネーへの関心が高い富裕層だけでなく、リテラシーのそれほど高くない一般層に対する「教育」的なコンテンツを充実させているという動きが目立ちますが、インフォグラフィックスや動画などを用い、難解なテーマをわかりやすく、視覚的に見せるという工夫がされており、特に動画はマーケティングROIの向上が見込まれるといわれます。
このように、国内でも金融機関のコンテンツマーケティング施策はどんどん活性化していくでしょう。中長期的なブランドデザイン構築を前提としてもコンテンツマーケティングは非常に大きな成果を齎す施策ですので、ご担当者の方は、ぜひともご検討されてみてください。また、マーケティングの転職希望者を募り、仕事を与えつつ、自社のコンテンツマーケティング施策とともに育て上げるのも一手でしょう。
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「マーケティング」に関する記事はこちらよりご覧ください。