セルサイドとバイサイドを知る

次に、「なんとか社の●●アナリストによれば~」的ニュースが出た時に考えることを学びたい。

そんなときに考えることは、このアナリストは「セルサイドにいるか?」それとも「バイサイドにいるか?」ということである。セルサイドアナリストというのは、証券会社や投信業務を行う銀行などに属するアナリストのことだ。バイサイドアナリストとは、金融商品を購入する業者に属するアナリストのことである。当然、セルサイドアナリストというのは、その業者が受け持つ商品が魅力的に映るように言葉を選ぶ傾向がある。本当のことを言うのははばかられる人間関係の中にいることが多く、その証券会社の「出来高を膨らます→手数料を多く得られる」ことを目的としたレポートを提出する傾向がある。

一方、バイサイドアナリストというのは、自社の自己売買部門(ディーリング)のベースになるようなレポートを書く必要があるので、ある程度率直に考えやレポートを書く傾向がある。ある業界に関して非常に悲観的な意見や予想を含んだりしていれば、さらにその信憑性が増す。

もちろん、個人投資家が各サイドのアナリスト、ファンドマネージャーの所感やレポートを得られるということは、実際のアナリストたちもそれを見ながら参考にしている可能性もある。そこら辺を、以前、某国有系シンクタンクのアナリストに聞いてみたことがある。

その方がどう言っていたかと言えば、アナリストランキングに入るような人間は選ばず、逆に一貫性のないアナリストを選ぶ場合があるとのことなのである。

通常、態度に一貫性があるとそれは尊敬に値し、信用が大きくなる。

ではなぜ一貫性のないアナリストを選ぶのか。それは、昨今のような金融恐慌ののちの経済状況に対しても以前までの経済予測を買えないアナリストや経済評論家は意地を張っている場合があるからだ。頭が固いという次元の話ではなく、自分の意見がメディアに流れたのち、それを変更するにはある程度のエネルギーがいる。つまり、相場は常に変動するので、ある程度フレキシブルに意見を変化させる(もちろんそこに整合性がなければいけないが)アナリストの意見を集め、総体としてフィルタリングしていくという作業が非常に有効だとのことである。

アクティブ系、パッシブ系レポートの使い分けを行う

ちなみに、年金や投資信託など多くの人から集められた資金を運用するファンドマネージャーにも、様々な種類が存在する。一般的な定義づけをするのは少少危険だが、①アクティブ系②パッシブ系に分かれる。(その他、テーマ型などこまかな分類はあるがここでは説明を省く)。

①のアクティブ系ファンドマネージャーと言うのは、ある決められたベンチマークよりも勝利することが求められるので、必然的にリスクを取って高リターンを狙う傾向がある。こういったファンドマネージャーの提言は、個人投資家にはかかえがたいリスクが潜んでいる場合もある。

②のパッシブ系ファンドマネージャーは、リスクを取ることを禁じられている。基本的に、指数などの価格変動をなぞることで利益を上げていく安定型である。そしてそのファンドマネージャーが言うことも、当然ローリスクな傾向があり、それだけやっていても個人投資家には十分なゲインを得ることが難しいこともある。

また、ファンドマネージャーの特色として、比較的長期投資を前提に置いている傾向があり、そこを踏まえて情報を得なければならない。

数字の限界を知ること

現代には数字崇拝がある。欧米式資本主義の象徴と言われる合理化、それを表現するものとしての「数」。最近では、医療場面において、適正な医療判断のベースにするために、痛みという極めて個人的な感覚をも指数化するというニュースがあった。

経済ニュースにおいて、数字の改ざんはそこまでなされていない。中国など情報開示が進んでいない国では往々にして起こり得ているが、先進国のほとんどでは、様々なジャンルで情報開示が急速に広がっていることから、製作者側にとって、数字の改ざんほどリスクの高いものはない。

ただ反面、ニュースの中の「数」のそもそもの出生に疑いの目を向け、その全能性を一度否定してみるという作業が必要になってくる。

おそらく、マクロ経済関連のニュースの中の数として最も馴染み深いのが、GDPや雇用統計などの経済指標、また、企業の決算などではないだろうか。

まず、企業の決算は本当なのか、という話から進めていくが、粉飾決済という単語で思い浮かべるのが例のライブドア事件だろう。今でも堀江氏を糾弾し、控訴を続けている団体を見て、皆さんはどう思うだろうか。正当な権利を主張していると捉えるか、それとも、「自己判断自己責任」という投資・ビジネスの基本から外れている行いだと捉えるかは人それぞれだが、そもそも決算書というものにウソが混じる場合があることに目を向けていれば、憤りを持ちながら生活をする人の数は減ったはずだ。

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