経済指標~フロー指標とストック指標~

経済に関する調査レポートは、様々な研究所や民間企業、また銀行などから出ています。その数は圧倒的です。しかし、そのすべてに目を通すことは至難の業です。しかも、そこまでする必要はありません。

先に話した通り「他の投資家が考えること」を読むことが相場で利益を上げるためのコツですので、「みんなが注目している情報」に注目するべきなのです。

為替市場においては特に、経済指標が大きな注目を浴びています。

経済指標の多くは、政府主導で調査・作成されているため、公平かつ正確な調査として、市場における信用度・注目度が高いのです。

ちなみに、経済指標は大きく二つに分けられます。「フロー指標」と「ストック指標」です。まず、二つの言葉の説明をしていきましょう。フロー指標というのは、「流れる」という言葉の意味通り、ある一定の期間にやり取りされるサービスの流れから算出された数値のこと。ストック指標とは、ある地点を前提に計算された数値のことです。簡単に言うと、お風呂に湯を入れる時、一分間に入るお湯の量が「フロー」で、すでに風呂桶に入っているお湯の量が「ストック」となります。

ところで、フロー指標とストック指標、どっちが大切なのかという議論には答えがありません。右のお風呂の図のように、風呂桶に入っている水の量をその国の経済の大きさとすれば、たくさんお湯が注がれたとしても、水面はそんなに急には上昇しませんよね。つまり、経済活動を多くしても、経済自体が大きいと、そこまで目立たないのです。逆に、小さな風呂桶(経済規模)であれば、少しでもお湯が注がれると、水面は急上昇(GDP成長率が高くなる)ということなんです。

ですから、米国やユーロ圏のように経済規模が大きくなった地域では、成長率が低いのは当たり前と考えましょう。反対に、アフリカのGDPが高くても誰もそこまで注目しません。なぜなら、風呂桶(経済規模)が小さいからです。こういったことに注目し、経済指標を読んでいかないと、ただ数値に騙されてしまうことになります。

経済指標の判断の注意点

経済指標は様々な形で発表されます。あるものはパーセンテージで、あるものは指数で、またあるものは数値で……。ただ、どういった形で発表されるにしろ、「事前予想」を見ておく必要があります。ある経済指標が出たときに、比較対象としての「事前予想はどうだったのか?」と考えることが重要なのです。

たとえいい数値が出たとしても、事前予想と同程度であれば逆に「好材料が出尽くした」という印象から、逆に通貨の下落要因にもなります。同時に、どんなに悪い材料が出たとしても、事前予測と同程度であれば「悪材料が出尽くした→下げ止まったのだから、今度は上昇する」という考えから、通貨が買われることもよくあります。

まずは、「前月比」「前年同期比」という比較対象を知っておきましょう。

経済指標ではたいていは前月比が使われますが、「季節性」などがある経済指標では前年同期比が用いられたりします。詳しくは後述しますが、季節性とは、時期による通貨の価格変動要因のことです。季節性を計算に入れた「季節調整値」というものが出される経済指標もあります。これを使うと、前月の数字との比較も可能になります。

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