「地合い」「市場の視点」「投資家のバイオリズム」

ニュースにも、もともとインパクトの大きいニュースとそうじゃないものがある。特に経済統計に関しては、それ自体でインパクトの大きさが違う。そして性質も違う。たとえば、数ある経済統計でも、GDPは速報性には欠けるが、とても大きなインパクトを持った経済統計だ。景況感指数は、インパクトはGDPよりも小さいが、調査期間が一ヶ月と他の統計に比べ短いため、短期的な指標になりえる。貿易収支もインパクトとしてはGDPには劣るが、内約がしっかりと区切られて細分化されているため、その国を取り巻く世界的な経済の関係性を分析するのに役立ったりする。雇用統計は、景気を推し量るのに非常に有効な統計だが、その中の「失業率」は、実際の景気の動きに比べ非常にタイムラグがある。景気が悪くなって従業員が解雇されるまでに時間差があるためだが、それゆえに、そこまで重要視はされず、むしろその国の今後の金融政策の変更の引き金になるかどうかが争点となり、中長期的な視点で判断されることが多い。

しかし、こうした「ニュースの前提」はあくまで一般的なケースだ。適用される時もあれば、まったく逆になることもある。なぜそういったことが起こるかというと、経済には、政治や紛争、災害、ブームなどいくつもの外的ファクターが折り重なっているということに加え「市場にはセンチメントがある」からだというしかない。

センチメントとは、市場の心理状態のことだ。

経済が悪く、多くの人が不安感を持っていたりすると、ちょっと悪いニュースでも、過度に弱気の材料として捉えられたりするし、逆に調子のいいときは、本当は大してインパクトの大きくない「いいニュース」でも、過度に好感されることもある。

つまり、経済統計のニュースだけでは「点」にすぎず、その点を受動する「センチメント」を認識することが、「線」としてニュースを読むポイントということになる。相場用語を使って恐縮だが、こういう市場のセンチメントのことを「地合い」と呼んだりする。

「地合い」を知るには、日々の「通貨や株式の市況」を継続的に読むのが効果的だ。市況には、「A銘柄の価格がどうなった」ということに加え、必ず「なぜそうなったか」という理由が書いてある。その理由が「必要以上」に、弱気に傾いていたり、強気に傾いていたりが、毎日の市況を読んでいると分かるようになってくる。また、通貨であれば、米国の「投資家恐怖指数(VIX指数)」を見て、投資家の心理状態を指数的に探るのも一手だ。「地合い」は、そうそう変化するものではない。長いトレンドのように、最低でも数ヶ月単位で変化すると考えていい。この「地合い」を調味料として、情報を料理すると、本当の市場のインパクト値が読めてくる。

そもそも、相場は「理知的で理論的」な反面「地合い」や「市場の視点」という曖昧かつよく分からないものが存在するということを知ってくると、ニュースの見方にも変化が出てくる。

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