株式と為替の関係性

為替相場と関連のある相場がいくつかあります。ここでは代表的な「株式」「債券」「原油」「金」の四つの相場について、関係性を簡単に説明していきましょう。

まずは「株式」です。大前提として、「株価と通貨は同じように動く」ということが言えます。では、「株が上昇するから通貨が上昇する」のでしょうか。それとも「通貨が上昇するから株も上昇する」のでしょうか。

これは、両方なんです。まず、株価主導で通貨が変動する状態を考えてみます。分かりやすく日本株で説明すると、日経平均が上昇すれば、株式市場の約6割ともいわれている外国人投資家(海外に居住している投資家)が日本株を購入しようとしますね。その取引は、もちろん日本円で行われます。つまり、日本株の人気が高まれば高まるほど、円に換金する必要性が多くなり、円高になるという構図です。

次に、通貨主導で株式が左右するケースですが、これは単純に、その国の通貨が高いと言うことは、「その国の経済全体に対する評価が高まる」という前提があります。業種的には、円高の時は日本の輸入関連企業が買われ、円安になると逆に輸出業の株に人気が集まります。

なぜなら、円高の場合は、輸出企業が外国で多くの利益を出しても、海外通貨の価値が総体的に下がるので、円に換算したときに儲けが少なくなりますね。反対に、輸入企業の株価は買われます。円の価値が上がれば、企業は海外から原材料や製品を買うことができるので、安いコストで仕入れをすることができる。つまり、企業としてはとてもいいことだから、それらの株価が買われるのです。

では、ドルと日経平均は反相関の関係にあるのでしょうか?米ドルが下落したなら円が上昇したということだから、日本の日経平均は上昇するんじゃないかと考えがちですが、実は、そうとも言えません。

「ドルが下落して、日経平均も下落した」

こんな状況はよくあります。

これは、ドルの下落につれて米国株も下落しているのです。米株は、日経平均に多大な影響を及ぼします。つまり、ダウが下がると、ドルも日経平均も下がり、日経平均が下がれば、円も下がる、ということになります。この、ドル、円、米国株、日本株の4つの関係は一概には言えなく、その時のパワーバランスによって決まってきます。

債券と為替相場の関係性

次は債券と為替市場の関係です。債券とは、国などが発行するいわば株式のようなものですが、株式と違うのは、あらかじめ利率や満期日が決まっているという点です。国が倒産することはまずないですし、利率が決まっているという点ではリスクの低い金融商品です。

さて、債券はけっこう為替市場に影響を及ぼしますので少し知っておきましょう。

債券価格というのは、金利を前提に決められています。一般的には、利回りが低下すると、債券の価格は上昇し、また利回りが上昇すると、債券価格は低下するという逆相関の関係にあります。

金利の項でも話しましたが、その国が不況に陥った場合、中央銀行は政策金利を引き下げて、企業の設備投資などをしやすくさせ、経済を活発化させようとします。この段階では、金利が下がったのですから、利子収入の低下を見越して通貨は安くなります。反対に、債券価格は上昇するのです。ですので、債券価格が上昇したというニュースが報じられた場合は、その国の通貨安を連想することがコツです。

ただ、金利が上昇した際も、手放しで喜ぶのではなく、やはりインフレ率を加味しながらの投資を心がけましょう。

原油と為替の関係性

原油とは、多くの商品を精製する段階で必ず必要になるエネルギー源です。今は「省エネ」や「エコ」の観点から代替エネルギーの開発も盛んですが、完全な実用化にはまだ時間がかかりそうです。つまり、原油需要はいまだ底堅いということなんです。 

2008年、サブプライムローン問題や米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻を受け、株式市場や通貨などから資金を避難させざるを得なかったファンドが原油に集中投資したのもこういった背景があったからです。

基本的なシナリオですが、原油価格の上昇は基本的に円売り材料です。なぜなら、日本は原油輸入率が非常に高く(90%以上)なので、原油が高くなるとコスト高に直結するからです。また、世界の原油はドル建てで取引されているので、高い原油を購入するときには、世界中で多くのドルが必要になる(つまり、世界がドルに買い替える)からです。

さて、原油相場を主軸として為替相場を見るうえでのポイントは二つあります。

短期的なポイントは「相関または逆相関の関係にあるか。もしくは関係していないか」ということです。チャートを作ってみれば分かりますが、この二つの相場は、相関もしくは逆相関のトレンドは、中期的な周期で変化します。つまり、短期的な関係性は非常に強く、どちらともなく相互的に価格を連動させていくので、例えば相関しているときに、「原油が上昇する」というニュースを聞けば、「もしかしたらドルも上がるかもしれない」と相場を予想できますね。

そして、中長期的なポイントは「原油価格が上昇していたら、それがインフレを引き起こすか」ということです。長い期間にわたって原油価格が上昇すれば、ほとんどすべての製品コストが上昇するので、世界各国でインフレ率の上昇が起こる原因になります。

ゴールドと為替市場の関係

次は「金(ゴールド)」です。そもそも、なぜ金は重宝されるのでしょうか。

それは、「人間の都合で生産量を調整できない」からなんです。紙幣だったら、刷れば刷るだけ市場に溢れますよね。どのくらいお札を印刷するかということも、人の判断です。しかし「金」だけは違います。金は、鉱山から掘り出されるしかないんです。つまり、私たちの意思によって「供給量を変化させられない」のです。供給が限定的だということは、「価値が落ちない」ということですよね。だから、金は半永続的な価値を有しているのです。

また、通貨は基本的に紙切れです。インフレ率の上昇などによって、その価値は簡単に下落してしまいます。そんなときにゴールドが本当の輝きを放つのです。「紙(通貨)は安くなるけど、ゴールドは商品それ自体に価値があるから、価値は消えない」と思って、資金をゴールドに換える人が多くなる。

つまり、金とドルは「逆相関」の関係になる傾向があるのです。

ただ、金価格主導で為替相場が変動することは多いかと言われると、ほとんどないと言っていいでしょう。金には、原油のように、実体経済における実需がほとんどないのです。パソコンの部品など、必需的に使われることもなくはありませんが、その需要のほとんどは宝飾品としてなんですね。

ポイントとしては、ゴールドが中長期的に上昇している場合、「もしかしたら、インフレ懸念(←つまり、ドルの価値が疑われている)が台頭しているのではないかな?」と考え、ドルの下落を視野に入れられるようにしておくことです。

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