さまざまな外的要因を視野に入れておく

投資における利益は、すでに起こってしまったことからは絶対に生まれません。つまり、投資家は「未来を予測する」必要に駆られているわけです。投資家はみな、「自分だけ乗り遅れる」状況を作り出してしまうことを嫌い、相場の波に乗り遅れることを回避するために、相場の材料から少しでも多くの情報を抽出しようと躍起になります。

しかし、相場は、経済学とは似て非なるものです。決して計算のみでは利益を上げることはできません。なぜなら、市場は「多くの人が参加することで成り立つ」ものだからです。人間味に満ちているんですよ。ですから、様々な情報を見て「自分がどう感じたか」「経済学的にはどうか?」ではなく「他の多くの参加者が、この情報をみてどう感じるか」を考慮する必要があるのです。

さて、為替市場には多くの政治的な外的要因があります。具体的には、戦争(テロなど)、各国の正常、要人発言などですが、それぞれに、経済学では測れない、「相場のクセ」のようなものがあります。それらを少し説明していきましょう。

戦争は本当に為替市場に影響を与えるのか

外的要因の代表格として市場に影響を与えるのが、テロや紛争また戦争など「有事」です。物理的にモノや人が傷つくわけですから、一見、市場に与えるインパクトは大きいと思われます。しかし、ここ最近のテロと相場の関係を検証してみると「インパクトは大きいけれど、実体経済に影響がなければ、その影響はすぐに相場に吸収されてしまう」傾向があります。

実際、米国の911同時多発テロの後、ドルはパニック的に売られたものの、翌月にはそのほとんどが買い戻されました。2005年にイギリスでテロが起きた時も、翌日にはほぼ回復しましたし、主要先進国から見た際の外部紛争であるイスラエルや中東情勢の悪化なども、その多くは短期的な売り材料と捉えられ、その後すぐに買い戻されています。

テロや紛争が起きた際のポイントは、①「どの程度、実体経済に影響を及ぼすか?」②「どの程度、継続するか?」です。短期的に大幅変動するのは、心理的な不安感から取引量が落ちることでボラティリティが高まるからです。短過度に反応せず、既存のトレンドをしっかりと見極める必要があります。

シナリオトーク①

「テロが起きた」というニュースがあった時は、短期的な下落を前提に、短期で売りを入れる戦略を考えましょう。ただ、テロ発生時の下落の度合を予想するために、ファンドがどの程度買い玉を持っているかを知っているべきです。一時的とはいえ、テロ・紛争が起きたときには「買いポジションを持っていたファンドがポジションを手じまう」動きが起こります。つまり、それまでに多くの買い玉が積み上がっていれば、下落率は大きなものになります。逆に、テロ発生以前の相場においてファンドの買い玉が少なければ、「ポジション手じまいの動き」がそこまで顕著には現れず、下落率は限定的になりがちです。

シナリオトーク②

また、テロが起きた際に上昇するのが、安全資産としての金などです。そして、金の価格に連動した通貨であるオセアニアの通貨が買われたりします。通常ドル/円で取引を行っている方も、こういった特別な状況になったらコモディティ通貨に目を向けるのもアリです。

要人の一言が相場に与える影響

次の要因は、「要人発言」です。今の為替相場の要人とは、アメリカなら「FRBの関係者」欧州なら「ECBの関係者」オーストラリアなら「RBAの関係者」ニュージーランドなら「RBNZの関係者」、日本なら「財務大臣や日銀総裁」ということになるでしょう。そういった人物が、相場に対して何かしらの考えや意向を発表すると、価格変動に影響を与えるわけです。たとえば、アメリカのFRB関係者や財務長官が「今後米国経済は堅調に向かう」と発言した場合、それが素直に捉えられれば、ドルを押し上げる材料になります。

ただ、「発言のインパクト」は様々です。事前に予想されていたり、誰もが思っていることを繰り返す、また、誰も気にしていない内容に言及したりしても、そこまでの価格変動要因にはなり得ません。むしろ、「その通りの発言をした」と捉えられ、売り圧力になることもあります。

要人発言のインパクトを測るポイントとしては①「その発言は市場にとって驚くべきものか?」②「その発言の内容は、市場に意識されているか?」ということになるでしょう。要人発言は、国際会議や定例的な議会のほか、通信社や経済紙などに突然掲載されることもあります。常にニュースをチェックしておく必要があるでしょう。

コンテンツマーケティングを成功に導く3つのステップ