アメリカの金利が上がったらどうすればいい?

次は「金利」について考えてみましょう。金利とはお金を借りた際に発生する「利息」のことです。ほとんどの企業は銀行と取引をしています。これは、企業はどうしても、製品を生み出す前に「設備投資」としてお金を借りなければいけないからです。その際に、利子が高い(高金利)か、利子が低い(低金利)か、という問題が非常に重要になってきます。

金利を決めているのは各国の中央銀行であり、それぞれの国の政策によって率を変動させています。

では、不景気の際、各国の中央銀行はどうするか考えてみましょう。

不景気ということは、企業が設備投資に回すお金を出し渋りがちですよね。そんな時に銀行から借りるお金の金利が高かったら「今は借りたくない」となります。そうなれば「企業の設備投資が低下」→「さらに経済は低迷する(不景気)」という流れが作り出されてしまいますので、これではいけません。

不景気の際、中央銀行は「金利を引き下げ」ます。金利が下がれば、企業は「金利が低い今なら設備投資の資金を借りよう」と思い、経済は活発化に向かいます。これは一方で、消費者に対し「銀行にお金を預けていても(金利が低いので)あまり意味がない→消費しよう」という流れ作り出します。結果、不景気の解消につながるのです。

好景気の場合は、反対に金利を上げて、「引き締め」ます。そもそも、あんまり好景気過ぎるのもよくないのです。好景気の時は、消費や投資に過熱感が生じ、これが継続すると「バブル」経済になり、いずれ「バブルの崩壊」という痛手を被ることになるます。この「好景気の継続→バブル→バブル崩壊」を防ぐのも中央銀行の役割です。

「今の状況だとバブルになりかねない」と中央銀行が判断した場合は、「金利を上げて、銀行の資金貸し出しを控える」という流れになります。そうなれば同時に消費者は「銀行にお金を預けていればたくさん利子がつくから、消費を抑えて銀行に預金しよう」と考えます。このように、バランスを取っていくのです。

スワップ金利のシステムを知ろう

FXの場合、国際的な金利差に目を向ける必要があります。たとえば、米国の金利が20%で、日本の金利が1%だとしたら、みんな預金を、金利の高い国、つまりこの場合米国に預金しようとしますよね。また、その国の金利が高いということは今現在、その国の景気は堅調だということです。つまりイメージとして「この国に投資しておけばOKだ」という心理にもつながり、さらに通貨が買われます。

このようにグローバルでみると、マネーは「高金利の国へ向かう性質」があります。FX取引における二つの通貨間の金利差を「スワップポイント」と呼びます。日本は超低金利政策が続いているので、他のほとんどの国よりも低金利です。ですから、例えば米ドルを日本円で買って持っていれば、毎日スワップポイントが受け取れます(今は、米国も低金利なのであまり多くは望めませんが)。

スワップポイントは短期間では小さな額ですが、中長期でポジションを持つとなると気になってきます。またスワップポイントは、保証金の額ではなくレバレッジを加味した「取引金額」に対して計算されるので、ある程度の大口また中長期投資家であれば、この利益を大きなメリットと捉えることもできます。ちなみに、為替変動による利益を「キャピタル・ゲイン」。金利スワップなどで得る利益を「インカム・ゲイン」と呼びます。

金利とインフレ率の関係に注意

ただ、高金利の国の通貨だからと言って安易に買い続けるのは危険です。超低金利政策を実施している日本よりも高金利な国はたくさんありますが、そこに資金が集中するかと言ったら、そうでもありません。金利と並行して考えなければいけないのが、インフレ率(物価上昇率)です。上述した「購買力平価」の考え方のもと、インフレ率が高いとその国の通貨価値は低下するので、いくら金利が高くてもその魅力は相殺されてしまいます。

各国の中央銀行が定めている金利は「名目金利」と呼ばれるものすが、インフレを考慮して各国の金利差を推し量る場合は、「実質金利」に注目する必要があります。実質金利とは、名目金利からインフレ率を差し引いたものです。

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