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ブランディングのキモ「コーポレート・アイデンティティ」を学ぶ―RIZAPの場合―

コーポレートアイデンティティ

この数年、RIZAP(ライザップ・RIZAP株式会社・東京都新宿区)がお茶の間でも一躍有名になりましたね。基幹事業であるトレーニングジムだけでも、2018年3月時点では、120近い国内ジムと、上海・シンガポールを始めとする5つの海外ジムを展開しています。かの会社のブランディングが飛躍的に増したのはTVCMだと思いますが、あの広告、どんな言葉で締めくくられていたか、憶えていますか?

「結果にコミットする」

鮮烈かつクリエイティブなキャッチコピーですよね!この言葉は、RIZAPのパーソナルトレーニングジム全体のコンセプトでもあるようです。RIZAPグループの瀬戸社長が自社サイトのトップメッセージで発信しているのが、『人は変われる、そのことを証明したい』という内容。それを可能にするビジネスのひとつが、パーソナルジム事業だということですね。ということで今回は、企業のブランディングの根幹をなす「アイデンティティ」のお話です。

 

RIZAPグループの現在~筋肉と英語?~

RIZAPグループ

冒頭引き合いに出したRIZAPですが、こんなサービスを展開しているのをご存知ですか?

RIZAPENGLISH

都内に複数のスクールがあり、今後拡大されていく展望のようです。なぜRIZAPが英会話!?その答えはRIZAPENGLISH株式会社の企業サイトで歌われてはいないものの…

RIZAPはボディメイキングのノウハウを売る会社ではない、『途中で投げ出さずに何かを続けさせるための支援を顧客に提供するノウハウ』を売る会社だ、ということなのではないでしょうか。

RIZAPグループ全体の収益を見てみると、なんと6期連続の増収。2018年の3月期第2クォータの決算では、前年同期比150.8%と、右肩上がりどころか急勾配の成長を続けている実績があります。その基幹を担うボディメイキング事業だけで見ても、前年同期比は145%。物凄い数字です。

この数字は、パーソナルトレーニングジムとしてのRIZAPが市場の顧客から高い評価を獲得していることを裏づけるには十分な数字と言えそうです。顧客はもしRIZAPのジムが役に立たないと思えば、自分は二度と通わないでしょうし、人にも紹介しないでしょう。親しい知人友人が通おうとしていたら、制止さえするかもしれませんね。この数字の伸びはどうやら、そうではなさそうだ、ということを物語っています。

英会話指導の実績を持っていないRIZAPグループが、インパクトのある同業他社がひしめく英会話スクールビジネスに参入しようというのですから

  • 企業(経営者)の強い動機
  • ビジネスとしての高い勝算

両方が十分にあると考えているに違いありません。そして、IZAPが提供している『途中で投げ出さずに何かを続けさせるための支援を顧客に提供するノウハウ』が、まずパーソナルトレーニングジムの事業領域でかなり成功しているという客観的事実は、この動機と勝算を強く後押しできる土台になりそうです。

例えばここに、三十代を過ぎてから何度もトライしたダイエットが失敗に終わり、RIZAPで奇跡のダイエット成功を成し遂げた四十代前半の営業マンが居るとします。彼がこれから、苦手な英語を身に着けようと思ったら?おそらく、最初に視野に入る選択肢のひとつがRIZAPENGLISHでしょう。

もし、彼の上司に急な海外異動の辞令が出て、お酒の席で英語力への不安を口にしたとしたら?おそらく、彼は上司にRIZAPENGLISHを勧めることでしょう。そして、上司は、たるんだ彼のボディラインと、引き締まった彼のボディライン、両方をよく知っている人であるはずです。かなり心を開いて、『ライザップ英語』と、スマホの検索窓に入力しはじめるのではないでしょうか。

企業のイメージは『何』でできているのか?

企業のイメージ

企業のイメージ=(企業理念)+(事業ドメイン)+(CI)

一方、企業理念=企業の根本的なありかた={(組織が外側に作り出す貢献)+(組織が内側に作り出す貢献)}のかたちです。

企業イメージとは、社会や顧客、株主、ビジネスパートナー、一般社会などが、『その企業をどのように認識しているか』ということです。私たちが、ある企業を、『何だと思っているか?』ということですね。

企業が社会に対してどのような貢献をし、社会のどのような役割を引き受けることを決めているのか?自社の社員をどのような方向性で活動させ、どのように豊かにしていくことを引き受けているのか?

これを明確化したのが、企業理念です。明確化とは、作文です。ひとつの短い文章(短くない会社もあるのですが)に、企業の根本的なありかたを詰め込んだものです。いくつかの有名企業の企業理念を見てみましょう。

  1. アマゾンジャパン株式会社:地球上で最もお客様を大切にする企業であること
  2. キリン株式会社:「飲みもの」を進化させることで、「みんなの日常」をあたらしくしていく。
  3. 株式会社壱番屋:ニコニコ・キビキビ・ハキハキ
  4. 株式会社NTTドコモ:私たちは「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」に向けて、個人の能力を最大限に生かし、お客様に心から満足していただける、よりパーソナルなコミュニケーションの確立をめざします。

いかがでしょうか? なんとなく、文体やことばの選び方から、社風まで透けて見える気がしませんか。アマゾンも、キリンも、壱番屋(カレーで有名なあの会社です)も、NTTドコモも、『いかにも』という感じがしますよね。

企業理念とは、経営者が何のためにその企業を経営しているかを表したことばです。それに基いて企業活動を営み続けると、それに適した集団が出来上がっていきます。

つまり、企業理念は、企業の文化や風土の基盤を形成しているものなのです。

事業ドメインとは何か?

事業ドメイン

事業ドメインとは、事業の領域と範囲を定めたもの。企業が自らの意図で決めるものです。冒頭で引き合いに出したRIZAPの例で考えてみましょう。

RIZAPグループが、自分達の事業ドメインを『ボディメイキング事業』のように捉えている観点では、RIZAPENGLISHのような事業は誕生しません。これを、『パーソナルトレーニング事業』のように捉え直したとき、市場、競合、すべてが変化してきます。

富士フイルム株式会社という老舗企業があります。2018年2月(この記事を書いている)現在、コーポレートサイトの一番上に輝いているのが、松田聖子さん、高畑充希さんをイメージキャラクターとした化粧品ブランド『ASTALIFT』のPR画像。デジタルカメラの普及により、長年の基幹事業であったフイルム事業が収益を維持できなくなっていった逆風の中で、そのフイルム事業によって培ってきた高度な科学技術をコラーゲン抽出に転用することで生まれた、同社の新しい事業ドメインです。

もし、『感光式の写真フイルムが社会から不必要とされたら、私たちの会社は存在する役割を終える。何たって、富士“フイルム”なのだし』と考えられていたら、このイノベーティブな新事業が生まれることはありませんでした。

FUJIFILMSustainableValuePlan2016と題された創立80周年時のレポートの中で、最初に登場するキーワードは『健康』。トータル・ヘルスケア・カンパニーを目指すビジョンが明確に示されています。

事業ドメインは企業イメージを形成するとても大きな要素ですが、事業ドメイン自体は広い視点で、社会の変化に対して柔軟に対応し続ける性格のものであることがわかりますね。

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CI(コーポレート・アイデンティティ)とは何か?

CI(コーポレート・アイデンティティ)

企業イメージを形成する3つ目の要素が、コーポレート・アイデンティティ(以下CI:企業のアイデンティティ)です。

CIとは、企業の存在意義とイメージを社内外にアピールするもの(引用:『マーケティング・ストラテジー』2000年・中央経済社・小木紀親著)。社会から好意的に見られるための外部戦略と、企業の内側に一貫性を作り出すための内部戦略の役割を併せ持ったものです。

企業理念が『作文』であるのに対し、CIはもう少し広範囲の、総合的なイメージ戦略を指します。メッセージ(キャッチコピー)以外にも、ブランドカラー・コーポレートカラーを統一したり、キーロゴの意匠に統一性や意味をもたせたり…などなど、全感覚的なコミュニケーションツール一式に関して、包括的なコンセプトをもとにデザインしていきます。

企業の理念に直結したCIは、商品開発にも密接に関わってきます。商品やサービスはCIと一体となって社会に対して認知を拡散していきます。そのため、企業間のM&A(買収合併)が起こるときには、CIをプロダクト・ブランドとして残す事例も数多く見られます。

オンキヨーに吸収合併されたSOTEC、Victorと経営統合したKENWOOD、SONYに吸収合併されたAIWA(ただし2017年に十和田オーディオがSONYから商標を取得し、二代目AIWAを再設立)など、社会的な認知と評価を獲得していたCIは、母体となる企業が変わっても生き残り続けていますね。

CIは企業が認知を獲得する入り口になることが多く、企業の顔とも言えるものです。

小さくなり続ける日本と、問われる企業イメージ

小さくなり続ける日本と、問われる企業

第二次世界大戦後の日本企業の特徴のひとつが、『系列子会社』の文化であると言えるでしょう。そして、第四次産業革命などとも言われ始めた、進み続ける現代の高度情報化の波は、企業間関係が大きく流動化する社会の潮流を作り出しています。

例えば首都圏(関東近郊)にお住まいの方にはすっかり馴染み深い存在になった共通ICカード、PASMO。このPASMOは関東地区にある鉄道会社、バス会社各社が協働で開発・導入を行ったものです。そして、このPASMOが爆発的に普及した最大の理由は、同業最大手であるJR東日本のICカード『Suica』と互換性をもたせたことです。

顧客にとって便利でなければ意味がないという、ビジネスの本質に立った素晴らしい事業です。その裏側には、勇気と柔軟性を併せ持ったたくさんの英断があったことでしょう。

象徴的な事例をもうひとつ。2017年に始まったアサヒビールとキリンビールによる共同輸送を取り上げたいと思います。JR貨物・日本通運と提携して、関西の工場(アサヒ吹田工場、キリン神戸工場)から北陸・金沢市の物流拠点まで、両社の飲料を共同輸送する仕組みが生まれました。

トラック輸送が主だったものを鉄道輸送に転換し、業界大手の2社が『相乗り』をすることで、導入当初の時点で年間1万台分の大型トラック輸送を削減する計画。CO2削減による環境配慮の文脈で発表された施策ですが、理由は明らかに、人口減を背景とした『国内需要は今後伸びない』という現実的大問題への対応と考えられます。

異業種連携のみならず、このような同業種間の連携が多く見られるようになってきました。『狭い市場で少ないパイを奪い合っているうちに、業界全体が衰退し、やがて共倒れになる』という避けたい未来を、日本企業全体が共有し始めたことの表れとも言えそうです。

このような時代に、企業イメージの確立に対して、どのような意図を働かせるか?とても重要な課題です。チャレンジングで継続性に固執しない事業(あるいは事業未満の、企画レベルのビジネス)を、クラウドファンディングでさっと現実化してしまう企業も多く見られるようになってきました。

大企業にとっても、中小企業や個人事業者にとっても、イメージ形成の戦略はたいへん重要な課題です。『選ばれる企業』であることだけでなく、『選ばれるビジネス』を絶えず生み出し続ける力が必要とされています。

まとめ

『選ばれる』ということは、『選ぶ人が理解できて、共感できる』ということ。単純なコストパフォーマンスや認知度の勝負―ノウハウまでの領域だけでなく、何故やるのか、それは何故私たちなのか―ノウホワイやノウフームの領域においてもビジネスをよく煮詰め、常に魅力的なイメージを持たれ、魅力的なビジョンを社会と共有し続けられる企業でありたいものです。企業理念、事業ドメイン、そしてCI。『私たちが獲得したいイメージ』から逆算して、これらを見直してみるのも面白いですね。

なお、以下の記事では、企業の種類や状況に応じた効果的なブランド構築手法について解説していますので、こちらも併せてご覧になってみてください。

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