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営業とはどのような仕事か?/トップセールスに学ぶ営業職の本質
- 2020/4/18
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国内の新型コロナウィルスの感染者数は日ごとに拡大し、4月17日現在で1万人※1を超え、今後も増加傾向にあります。政府は、非常事態宣言を全都道府県に広げ、一層の警戒を呼び掛けています。
企業に対しての業務自粛要請も、日増しに圧力は強まっています。企業は社員に出社を控えさせ、リモートワークを実施するなど、勤務形態の見直しに着手し始めました。仕事の進め方もITを活用して、これまで以上に改善が為されています。こうした試みは管理部門を中心に見られますが、営業部門においても、営業手法の見直しを含めて、営業職という仕事そのものを見つめ直す動きが広がっています。
そこで今回は、トップ営業が大切にしている、営業という仕事の定義と基本を確認するとともに、営業職の形態と本質について、詳しく解説します。
※1 国内の新型コロナウィルスの感染者数https://www.nishinippon.co.jp/image/183945/
1.営業の定義と基本

あなたは、「営業」という職種に、どのようなイメージを抱きますか?
エネルギッシュに顧客に営業攻勢をかけ、言葉巧みに商品を売り込むトップセールスマンでしょうか。あるいは、売り上げ目標を達成できずに、上司に怒鳴られ、悲嘆にくれるくたびれた営業マンの姿でしょうか。
どちらも、営業職につきまとう、ステレオタイプのイメージですが、両者に共通するのは、「売上至上主義」という、結果がすべてという過酷な現実です。確かに、営業職にとって、売り上げを上げることが至上命題であるのは事実です。
しかしそれは、営業という仕事の一側面でしかありません。
現に、売り上げ数字を上げること以外に、喜びを見いだして日々働いているトップセールスは大勢います。
営業とは、端的にいえば、「商品を売って、対価を稼ぐ」行為です。営業マンは、古くは「商人」と呼ばれ、商人は「商い」という商行為を生業としてきました。
商法第二章第四条※2には、「商人とは自己の名をもって商行為を為すを業とする者をいう」とあります。商行為とは、商人が行う行為を指し商行為は、「基本的商行為」と「附随的商行為」に分かれ、さらに基本的商行為は、「絶対的商行為」と「営業的商行為」とに分類されます。
・絶対的商行為の種類
絶対的商行為とは、行為の性質から、誰が行っても、また営業としてではなく、1回限り行われたとしても、商行為となるものをいいます。
1.投機的購買とその実行
スーパーマーケットやコンビニなど、物を安く仕入れて高く売り、利益を得る行為。
2.投機的売却とその行為
事前に高値で販売することを約束し、主に動産などを安値で仕入れて利ザヤを得る行為。
3.取引所における取引行為
有価証券などを大量に売買する市場において、取り引きを行う行為。
4.手形など商業証券に関する行為
・営業的商行為の種類
営業的商行為とは、営利目的で継続的に為される行為を指します。
1.投機貸借とその実行
不動産の賃貸業にみられるように、賃貸目的で動産や不動産を有償で取得し、それを賃貸する行為。
2.製造および加工に関する行為
他人から材料の供給を受け、その材料を用いて製造あるいは加工することにより、報酬を得る行為。
3.電気、またはガスを供給する行為
4.作業または労務の請負
建設業や土木業のように、工事を請け負う行為や、労働者派遣業のように、労働者や作業者の供給を請負う行為。
5.運送に関する行為
旅客や物品などの輸送を引き受ける行為。
6.出版・印刷・写真撮影に関する行為
7.集客を目的とした場所の取引
映画館や劇場、レストラン、ホテル、遊園地など、人の集客に適する設備を設け、有償で利用させる行為。
8.両替や、その他の銀行行為
9.保険
保険者が、保険契約者から対価をもらい、保険を引き受ける行為。
10.商行為の代理の引き受け
委託者のために、商行為となる行為の代理を引き受ける行為。
11.仲立ち・取次ぎ
他人の法律行為の媒介を引き受ける行為を、仲立ちといいます。また、自己の名をもって、他人の法律行為をすることを引き受ける行為を、取次ぎといいます。
12.寄託の引き受け
他人の所有物などの保管を引き受ける行為を指し、代表的なものは倉庫業です。
営業の基本、あるいは本質とはなんでしょう。
営業とは、「売上を上げることで、会社の経営を支え、会社の成長に貢献すること」です。これに加えて大切なことは、「商品やサービスの特徴を顧客に説明し、顧客のニースを満たし、あるいは隠れた要求に気付かせ、高い付加価値を提供して、その対価を得る」ことです。
※2商法第二章第四条https://www.ron.gr.jp/law/law/syouhou1.htm
2.営業形態の3つの種類

営業には、3つの形態があります。
2-1.メーカー営業
自社がメーカーである場合、自社が開発・製造した製品を売り上げて利益を得る営業形態です。商材により、営業をかける対象が違ってきます。食品や一般消費財であれば、最終消費者に向けて営業活動を行います。あるいは、代理店や商社、卸商などに自社の消費・サービスの営業を依頼することもあります。一方、自社製品が、工場のソリューションシステムや、業務用会計システムなど、生産性の向上や業務改善を目的としたものであれば、営業をかける相手は法人の担当者ということになります。
メーカーの営業職は、扱う製品が自社で開発したものであるため、製品について精通していることが前提となります。顧客から、製品に関する詳細な説明を求められたとき、営業だけで対応できない場合は、開発・技術担当者を同行させて、説明にあたらせることもあります。
2-2.代理店営業
メーカーに代わって、商品やサービスの営業活動を行い、売上を上げる営業形態です。
メーカーと代理契約を結び、販売が成立した段階で、インセンティブを受け取る仕組みです。車や太陽光発電、住宅や外壁材などの販売を行う代理店や、商品のプロモーションを代行する広告代理店、保険の販売を請負う保険代理店など、様々です。
2-3.商社の営業
取引契約を結んだメーカーに代わり、商品やサービスを売る行為自体は、代理店と変わりません。しかし決定的に違うのは、商社はメーカーから製品を安く買付け、他社へ高く売るのが基本のビジネスです。従って、商社は買い取った商品に対して所有権を持ち、在庫を抱えるというリスクを負います。一方、代理店は、メーカーから製品の販売を委託され、営業を代行しますが、製品に対して所有権を持ちませんし、在庫を抱えるリスクもありません。
商社は、「専門商社」と「総合商社」とに分けられます。
専門商社は、特定の商材を扱うのが特徴です。例えば農産物を扱う会社、鉄鋼を扱う企業など、商品は多岐に渡ります。専門商社は、扱う商品が限定されているため、その分野においては強みを持っています。
総合商社は、取り扱う商材に制限はなく、幅広い商品を売買します。固有の商材を安く買い、高く売る「トレーディング」という営業がこれまで主流でした。しかし、過去に経験した「商社冬の時代」の教訓から、昨今では、収益の支点を「事業投資」というビジネスモデルにシフトしてきています。事業投資は、商社が長年培ったビジネスノウハウや人材、情報などを駆使して、対象とする会社の事業を好転させ、出資比率に応じて利益を得るのです。
3.営業職に求められる「4つの貢献」
営業は、場当たり的に商品を売って、売上を上げればよいというものではありません。継続して仕事をするためには、「4つの貢献」が求められるのです。貢献するべき対象は、「会社」、「顧客」、「社会」、「利害関係者」です。
会社への貢献は、営業目標を達成し、売上を上げて利益を確保することです。ただ、やみくもに売りまくればいいというものではなく、会社が大切にしている企業理念に則り、社会や業界のルールを守った上で、営業活動に邁進することが重要です。
顧客への貢献では、顧客の立場に立って、製品やサービスを薦めることです。こちらが売りたい製品が、顧客にどのような価値をもたらすか、常に考えることです。その上で、もし、他社の製品が顧客にふさわしいものであるなら、あえて自社の商材を売らずにおくこともあるでしょう。「それでは、仕事にならない」との反論もあるかもしれません。しかし、顧客の利益を第一に考えて行動することで、顧客との間に信頼関係を築くことができ、長い目で見て、顧客の生涯利益(LTV)を獲得することにも繋がるのです。
パナソニックの創業者である松下幸之助は、「水道哲学」という経営主義を貫きました。これは、「産業人の使命は、貧乏の克服である。そのためには、物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大させなければならない。水道の水は値ある物であるが、乞食が公園の水道水を飲んでも、誰も咎めない。それは量が多く、価値が余りにも安いからである。産業人の使命も水道水のごとく、物資を無尽蔵にたらしめ、無代に等しい価格で提供することにある。それによって、人生に幸福をもたらし、この世に極楽浄土を建設することができるのである」というものです。
自社が生産・販売する製品が社会に浸透することにより、人の人生に幸福をもたらし、社会に貢献することができるという思想です。営業職においてもしかりで、自分が売る商材により、社会に貢献できるという高い志が必要です。
以上の3つの貢献するべき対象は、大阪商人、伊勢商人と並ぶ「近江商人」が掲げた商売哲学である「三方よし」に基づいています。三方とは、「売り手」、「買い手」、「世間」の3つです。ただし、現在では、これにもう一つ「利害関係者」が加わります。利害関係者とは、会社の社員、社員の家族、取引先、株主を含みます。英語では「ステークホルダー」と呼びますが、企業活動を支えるすべての関係者です。
まとめ:営業というものの本質を見つめ直す

新型コロナウィルスの感染者は今後も増え続け、経済に与える影響も深刻さを増すばかりです。企業を取り巻く状況は楽観視できず、思うように業績を上げられずに「冬の時代」を迎える営業職は、今後数カ月のうちに、増加していくのは目に見えています。しかし、そんな時こそ、営業という仕事の本質について、改めて見つめ直してみることも必要でしょう。
今回は、営業職というもの定義や本質、営業形態、営業の指針となる考え方などについて考察してみました。単純に考えれば、物を売ってお金稼ぐ行為が営業ですが、実はそれだけではなく、営業職はもっと奥深いものです。営業という仕事のやりがいについて、今一度思いを馳せてみることで、新たなモチベーションにも繋がるのではないでしょうか。