景気が回復した、しない、というのは、明確ではない。自分で、その景気のバロメーターを持つことが重要である。
既存の経済ニュースは、「GDP」を経済活動(モノやサービス)の総体と混同することが多いのですが、GDPとは経済成長「率」だということを忘れてはいけません。
「アフリカのGDPが急激に上昇」というニュースからは、アフリカの経済が好調だというニュアンスが読み取れますが、本来は、アフリカのGDPは、アフリカの経済の規模をベースに考えなければいけないのです。
例えば、風呂桶が狭かったら注がれるお湯が少なくても、お湯の水面の上昇率(GDP率)が高まるのは当たり前です。先進国に比べて、アフリカは経済規模が小さいので、少しの経済活動が、大きなGDPの成長につながる場合が非常に多いのです。
こういうことを知っていないと、アフリカの経済について混乱させられてしまいます。対策としては、他国のGDPを見ることと、インフレ率を見ることがあります。
インフレ率が高いということは、その国の経済の価値が低下していることです。
「購買力平価」という考え方があります。例えば、一個100円のあんパンが、アフリカで1ランドだったとします。「100円=1ランド」ということになります。でも、アフリカの物価が上昇して、あんパンが1個2ランドになったとします。するとその途端に、「100円=2ランド」になってしまうので、一気に円高が進んでしまうんです。
たいがい、GDPが急激に高まった国というのは、インフレも同時に引き起こしているケースが多いので、そこを見ればだいたいわかります。
また、中国が、経済成長を続けているのはみんなが知っている事実ですが、はたしてこれがいつまで続くかが問題です。
中国は、はっきり言って社会主義国。国家が主導する企業は異常なほど多く、国家の下だといろんな手当がついて、ビジネスも非常に楽になります。逆に言うと、競争力がなくなる構造です。
でも、なんで中国が経済成長を続けているのか。それは、製品を精製する上でのコストになる、電気やその他のエネルギーを国家が決めているからです。増値税という仕組みを使っていて、日本の消費税に近いものですけど、コストになるようなものの税金を異常に安くして、安価にしています。
世界では、一応みんなが強力して、証券や為替や商品取引所を介して、「グローバルな価格決定」を行うように努力しています。けれど、中国は、最初からそれに参加していません。だから、コストになる商品が、世界中で高くなっても、政府が取り決めた安い金額で国内では取引できるんです。
「安いコストを使う」ことで、世界恐慌の現在の、経済成長を続けることができるんです。
でも、そんなことが長く続くはずはありません。
中国国内では安くても、世界的に見れば「実は非常に高い」モノがたくさんあるんです。
この、国内だけの価格で決めている、という仕組みは、やがて中国に歪みとして生じます。だから、中国の経済成長を安易に捉えてはいけないんです。というか、こういう歪みはもう出始めているので、ちょっと前にはやった中国株というのは、もう結構廃れています。