なぜ、今FXが注目されているのだろう?
為替相場において利益を得る取引をFX(foreign exchange)と呼びます。たとえば、「円」と「ドル」を交換して利益を得るわけですが、この不景気にFX取引が取りざたされているのには理由があります。
株式投資は基本的に「上昇しそうな銘柄を見つける」取引です。つまり、経済が全体的に下落している時は、株式投資をすること自体リスキーと言え、実際のところ、経済低迷時は出来高(参加者の総量)が少なくなります。
しかし、FXの場合は「逆の考え方」が可能です。FXは通貨の交換が基本なので、ドル/円が上昇する際には、「安いところで買って、高くなったら売る」という株式投資と同じ感覚で行いますが、逆に、ドルが下落すると思えば「高いところで売って、安くなったら買い戻す」ことで利益を得ることが可能なのです。
つまり、経済の善し悪しに関係なく、利益を得るチャンスがあります。タイミングよく「買って売り」、「売って買う」を繰り返すことで、経済の下落に振り回されず、むしろ利益獲得のチャンスが倍増すると考えることができるのです。
《レバレッジ》を使って資金効率を上げる
「少ない投資資金で大きな利益を得られる」こともFXの魅力の一つです。それを可能にするシステムが「レバレッジ」です。
レバレッジとは、「証拠金(FX業者に預ける金額)と実際の取引額の比率」を指します。例えば10万円を保証金としてFX会社に預け、2倍、3倍のレバレッジをかけるとします。すると、実際の取引では、20万円(10万円×2)、30万円(10万円×3)の取引ができるようになるのです。レバレッジによって投資金額が増えるということは、利益もその分増加するということです。
ですが当然、リスクも倍増します。レバレッジをかける際は、損失リスクを十分に考えてからにしましょう。別に、いつも同じレバレッジをかける必要はないのです。自信がないときには低いレバレッジをかけ、また確信のある取引時は高いレバレッジをかけるなど、レバレッジを柔軟に使い分けることがコツです。
ちなみに、「相場で勝つ」、また「資産運用を成功させる」という言葉の意味は、「長いスパンで利益を上げ続ける」ことです。つまり、一度だけ取引してみて、偶然大当たりしたというだけでは宝くじに当選したのと同じ。長く相場に参加していれば、いずれは損をするでしょうが、その損失を小さく抑えることも、勝ち続けるための秘訣です。
銘柄選択の悩みが少ない→勝率アップ
まえがきにも書いた通り、FXと株式投資の大きな違いとして、取引銘柄の量があります。株式は、東京証券取引所に上場している銘柄だけでも6000種類もあります。毎日、その中から動きそうな銘柄をチェックするのは多大な時間を伴いますし、たった一つの銘柄をじっと眺めていても、取引チャンスには限りが出てきます。
FXで取引可能な通貨はーつ。中でも、主要通貨である「ドル」「ユーロ」「円」の3つの通貨の組み合わせで取引している人が圧倒的に多いですが、下落時も利益獲得のチャンスになるので、自分の得意な通貨ペアで毎日取引しても利益獲得のチャンスは多くあります。
決まった通貨ペアで取引するということは、価格変動要因になる情報を収集する時間が長くなるということです。これははっきりいって、勝率アップの大前提です。曖昧な情報収集で、なんとなくそこかしこに投資していては恒常的に利益を得ることは不可能でしょう。ドル(アメリカ)の情報はどこで得られるか。ユーロ(ユーロ圏)の情報はどこで得られるか。そういった「情報の抽出先」を明確にし、調べることをルーティン化するのです。そして、投資に使える時間の効率を上げることで、同時に勝率を上げていくのです。
「倒産リスク」のなさと「流動性」の高さ
FXの利点として最後に「流動性の高さ」と「倒産リスク」を挙げます。「流動性」とは、簡単に言えば「交換相手を探す手間」のことを指します。簡単に交換相手を探せることを「流動性が高い」、交換相手を探すのが難しいことを「流動性が低い」と表現します。
取引は、買い手と売り手がいて初めて成立します。大きな会社の株だったらいいですが、小さな会社の株は売買している人の数が限られていますので、買いたいときに買えない、売りたいときに売れないという状況が発生します。つまりこれが「流動性リスク」なのです。世界中で取引されている通貨取引では、まずそんなことは起こりえません。流動性リスクを気にしなくて済むのです。 また、株式投資のリス クとして「倒産リスク」があります。つまり、企業が潰れたり、上場廃止になれば、その途端に株式は紙くず、投資していた資産はゼロになってしまうのです。金融恐慌の現代ではこのリスクが以前よりも高まっていると言っていいでしょう。しかし、為替相場ではそこまで急激に価値が下落することはありません。ドルの価値が100円から一日で0円になるということは起こりえません。株式に比べると、為替は、狭いレンジでの変動が基本です。そういう意味では、比較的安全な取引と言えるでしょう。