人が知っているテクニカルを使えるようになろう

よく、「ぼくはファンダメンタルズ派」「私はテクニカル派」と自分の分析傾向を説明する人がいますが、別にファンダメンタルズとテクニカルはお互いそう反するものではなく、むしろ補完関係にあるものと考えるべきです。両方を知っていれば、実際に相場に乗り出した時、判断力が格段にアップするでしょう。

さて、テクニカル分析というのは、「過去のデータから未来を予測する」分析方法のことですが、テクニカル分析の基本的な考え方としては、人が知らない分析方法(つまり自分だけが知っている分析方法)を勉強する必要はないということです。むしろ、認知度の高いテクニカル分析を効率よく使うことを心がけたいところです。

これはなぜでしょうか。例えば、市場参加者の多くが「テクニカル分析A」を信じていたとしますね。その分析Aが本当に正しい分析方法かは、じつはあまり関係ありません。ただ、多くの人が、認知度の高い「テクニカル分析A」を相場分析に使っていたとすれば、相場はその通りに動く可能性が高くなるのです。

そして、自分は、その波に乗ればいいんわけです。自分がどうする、でなく「ここで、みんなはどう考えるだろう?」という問いをいつも自分の中に持っておくことが大切なのです。

ローソク足

まずは基本中の基本、ローソク足です。チャートでよく見るこの形状は、それ自体で相場の強さを表します。

ローソク足のすごいところは、「短期的な強弱」だけでなく「トレンドの転換点」なども読み取れるというところ。また、1本だけでなく、2本(または数本)で把握していくと、さらに信憑性の高いサインとなり得ます。

まず、始値と終値に横線を引き、それぞれを上辺と下辺にした長方形を描きます。これがローソクの胴体(実体)となります。始値が終値よりも高くなった時はローソク足の実体を黒く塗ります。これを「陰線(いんせん)」と呼びます。反対に、終値が始値よりも高くなった時、つまり相場が高値で引けた時は、実体部分を白くします。これが、「陽線(ようせん)」です。

加えて、その間の高値と安値を実態につながるように直線で描きます。この直線を「上(うわ)ヒゲ」「下(した)ヒゲ」と呼びます。このローソク足の形状に、値動きの現状のヒントが隠されているのです。一覧にしておきますので、目を通しておきましょう。

ローソク足を形成するにはその周期が必要です。その日の値動きから作られたローソク足を日足、一週間の値動きから作られたものは週足、同様に1分足、5分足、30分足、月足など、その周期は様々です。

たとえば、月足であれば長い期間のトレンドが分かりますし、1分足では直近の値動きが分かりますので、それぞれに利用方法がありますので、自分の取引スパンに合致したローソク足の使い方を心がけましょう。

トレンドの認識

ローソク足の連続で形成されるチャートからまず何を読み取るか。それが、トレンドです。トレンドとは、価格の一時的な流れではなく、大局的な流れのことを指します。トレンドは三つしかありません。それが「上昇トレンド」と「下降トレンド」と「横ばい」です。たとえば上昇トレンドが明確に確認された場合は、一時的に価格が下落したとしても上昇すると見込まれます。下降トレンドでも同じく、一時的に価格が上昇したとしても、結局は下落すると判断できます。

相場の基本としては、上昇トレンドの際は買いで入り、下降トレンドの際は売りから入るのが鉄則です。ただ、上昇しきったところで買いを入れてしまうと、また、下がり切ったところで売りを入れてしまうのは最悪のケースです。こういうことを避けるために、「トレンドに乗る」ことはもとより「トレンドの転換期を見極める」ことが大切になってくるのです。

それでは、トレンドの転換期によく見られるチャートの形状を覚えておきましょう。

三尊型

代表的な天底暗示のパターンです。日本では「三尊型」「逆三尊型」、欧米では「ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ」「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」と呼ばれます。このパターンは、高値圏の場合、図①のように、AとCのポイントで高値を越えようとするも、いずれも売り圧力に押されていることを示しています。

このチャートの形は、反対にすれば相場の底にも当てはまります。また、考え方は同じですが、三尊型のように3つの山を形成しないまでも、2つの山のみで価格が跳ね返されてしまっている状態のことを、「ダブル・トップ」「ダブル・ボトム」と呼びます。2回の挑戦で跳ね返されてしまっているところから、買い手の勢いのなさが表れていると言っていいでしょう。

三角フラッグ

①や②のような時は、大きく上昇もしくは下降するトレンドの中での転換点です。実際の相場には、「横ばい」状態になることが多々あります。つまりこれは、投資家が「迷っている」ことに他なりません。こういった横ばいの状態を「保ち合い(もちあい)相場」と言います。

左図がそうですが、こういった状態では、動く値幅が小さいし、上昇と下降が変化するスピードが速いので、高レバレッジのスキャルピングやデイトレではない限り、利益を得るのは難しいです。

短期投資であろうと、ある程度の利ザヤを得るためには、この「保ち合い相場」から、「上か下か、どっちに跳ねるのか」を予測することが必要です。

次のページに、保ち合い時のパターンとサインの表を記しました。目を通しておきましょう。

●ペナント

保ち合いを続けながらも上げ幅、下げ幅を徐々に縮小していく形。上昇トレンドで出れば、上放れすることが多い。一方、下降トレンドでは、下放れすることが多い。

●上昇三角形

抵抗線が頭を抑えているものの、徐々に安値を切り上げていくパターン。ペナントよりも上放れの可能性が高いとされる。

●下降ウェッジ

高値をジリジリと下げながらも実は下げ幅も縮小している形。一見、下降トレンドのように思える。しかし、実は上昇する可能性が高い。

●上昇フラッグ

三角形ではなく、安値を直線で結んだ線と、高値を結んだ線が平行な線を引く。こちらも、下降を示唆する感があれば、むしろ上昇転換の可能性が高い。

●下降三角形

支持線に安値を支えられながらも、高値を削るパターン。

下降トレンドに転じる公算が高い。

●上昇ウェッジ

ジリジリと安値を切り上げながらも、実は上げ幅を縮小させている形。詰まるところ買い意欲が低下しているので、下放れする可能性が高い。

●下降フラッグ

上昇フラッグの逆で、上がっているように見えながら下げる可能性が高いパターン。だまされやすいので特に注意が必要。

トレンド系テクニカル分析のポイント

以上がトレンド系テクニカル分析の基礎です。しかし、このテクニカル分析に則って相場を張っていたら、「全然違う動きをした」ということがままあります。

「頭と尻尾はくれてやれ」という相場の格言がありますが、これは「無理に大底や天井を狙うのではなく、天底を確認したうえで中身を取ればいい」ということをあらわしています。高値でなく「高値圏」、安値でなく「安値圏」という認識で相場を眺め、適度なところで売買することをお勧めします。

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